Pierre Jaillard Bressan(1663-1731)はフランスに生まれ、のちにイギリスで活躍した木管楽器製作家で、リコーダーの他にトラヴェルソ、オーボエを製作しています。当初はパリで活動していましたが、1688年にロンドンへ渡ります。この渡英はおそらくリコーダー奏者のJ.Paisibleの招待を受けてのことであると言われています。
77本ものリコーダーが残っており、これは製作家の判明しているオリジナルリコーダーの中で最多です。また、同時期にロンドンで活躍していたT.Stanesby Sr.の工房の通年課税評価額が£9なのに対し、Bressanは£60であったという記録があります。現存数や当時の文書から、彼の工房が大いに繁盛していたであろうことが窺い知れます。
当工房では上野学園所蔵のF管アルトを基に製作しています。オリジナルピッチはa’=410Hz程度で、中部管を短かくすることでa’=415Hzを実現しています。また、Bressanは延長・拡大/短縮・縮小に対する懐が深く、キャラクターを大きく損なうことなくピッチ変更が可能に思えます。そこで当工房ではa’=392Hzへの拡大モデルや、a’=442Hzへの縮小モデルも製作しています。
イングリッシュ系統のリコーダーのお手本のようなモデルで、音色は瑞々しく深みがあり、イントネーションや発音も良好です。
リコーダー協奏曲 ハ短調 RV441 / A. Vivaldi
使用楽器:ブレッサン アルトF管, a’=415Hz(製作 平尾重治)
演奏:井上玲
2本のリコーダーのための協奏曲 イ短調 TWV 52:a2 / G.Ph.Telemann
使用楽器:ブレッサン アルトF管, a’=415Hz(製作 平尾清治)
演奏:田中せい子、ダニエレ・ブラジェッティ
合奏協奏曲作品6の3によるソナタ ニ短調 / Arcangelo Corelli, arr. J.C.Schickhardt
使用楽器:ステンズビー Jr. アルトF管, ブレッサン アルトF管, a’=415Hz(製作 平尾重治)
演奏:山岡重治、太田光子
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