ブレッサン ソプラノB管, a’=415, 412Hz / A管, a’=415Hz

 Bate Collection所蔵されているPierre Jaillard Bressan(1663-1731)のオリジナルソプラノリコーダーB管を基にしています。残念ながら全長を改変された痕跡があり、正確なオリジナルピッチは不明ですが、元の状態を推測して試作を重ねたところ、およそa’=412Hzとなりました。(写真左)


 通常のC管ソプラノから全音低く、落ち着いた雰囲気のソプラノで、当時標準とされていたF管のアルトリコーダーから4度離れていることから4度フルートと呼ばれます。実に色彩豊かで、高音から低音まで色とりどりの音色を見せてくれる魅力的なモデルです。


 B管ソプラノを指定した楽曲として、C.Dieupartによる組曲があります。第5番と第6番において”Flûte du quatre”(4度フルート)との記載があり、現在見つかっている中では唯一このサイズのリコーダーのために書かれた作品です。これらの曲をひとたびB管ソプラノで演奏してみると、DieupartがC管ソプラノではなくこのモデルを想定して作曲されたことを実感できます。また、その他にもあらゆる室内楽曲で使用可能で、特に♭が多い曲に適していると言えます。


 当工房では、中足部管を半音延長することで替管としてA管(3度フルート)にも対応しました。Bressanらしい音色と機能性を保ちながら、アルトとソプラノの中間のような不思議な響きを味わうことができます。(写真右)

4度フルートと通奏低音のための組曲 第5番 へ長調 / Charles Dieupart

使用楽器:ブレッサン ソプラノB管, a’=415Hz(製作 平尾清治)

演奏:山岡重治

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